一般に『保険営業者はセミナー講師にならない方が営業成果を挙げやすい』という《定説》があるかも知れません。しかし、そんな定説故に、保険営業者の皆様が《プレゼンパワー》を更に磨き上げる道を、自ら閉ざしてしまっているかも知れないのです。
セミナーでも使えるような《営業トーク》を考えてみることが、トークパワーの更なる向上を促進するケースも、決して少なくないからです。同時に、セミナー講師も《やってみる》ことをお勧めします。

1.セミナーを堅く考え過ぎないことが大事

ビジネス上でのセミナーは学校の授業を連想させるかも知れません。もしそうなら『教育指導要領のようなものがなければ講師はできない』と捉えたとしても、無理はないでしょう。更には、『学校のように、誰かが強制的に受講者を集めてくれなければ集客も難しい』と捉えがちにもなり得ます。
確かに、一般のビジネス・セミナーでも、講師になるには《それなりの準備》が必要ですし、集客も容易だとは言えません。しかし、少し観点を変えてみると、事実の見え方が変わって来ることもあるのです。

2.学校教育とビジネス・セミナーとの違い

学校教育とビジネス・セミナーは、根本的に違います。少なくとも(実際は必ずしもできてはいないようでもありますが)、学校では正解を教えなければなりません。しかし、ビジネスセミナーで講師が話すのは、正解ではなく《一貫性のある見解や意見》ですし、それこそが重要なのです。
もちろん、ビジネスでは間違いを語ってもよいということではありません。ただ《ビジネス上での正解は、学校の授業とはニュアンスが違う》ということです。

3.自分の思いへの共感者を引き寄せる手法

たとえば、自分を被保険者とした生命保険を契約するのは《正解》でしょうか、それとも《間違い》でしょうか。もし、契約者が契約するつもりがなかったのに、保険の内容を過大評価してしまって契約したなら、それは《間違い》だと言えるでしょう。しかし保険の内容を一定以上理解し、自らの意志で契約したなら、それを間違いだとは、誰も言えません。
そのため保険営業者の皆様が生命保険を売るためにセミナー講師になるとすれば、契約が正解かどうかではなく、《講師の話に共感》して自ら契約の検討を始めようとする人を見出すことが目的になるわけです。つまり、準備した話に《共感者を引き寄せる》手法が、ビジネス・セミナーだということです。

4.セミナー手法を見聞する重要性と必要性

もちろん、セミナー講師にならなければいけないわけではありませんが、逆に『セミナー講師はできない』と自分自身を決め付けてしまうなら、もしかしたら心のどこかで、『生命保険を勧めても顧客の共感は得られない』と、自分自身の営業力を疑っているからかも知れないのです。それでは、対面営業でも迫力は発揮できないと言うと、言い過ぎになるでしょうか。
いずれにしましても、《誰かを共感させる話の内容》を考えることは、特に生命保険のような《顧客の思い込みの激しい商品》には非常に重要だと言えるのです。つまり、たとえ講師にならなくても、一度はセミナーを作ってみる気になることが重要だと申し上げているわけです。

5.共感者を引き寄せるストーリーの作り方

では、どのようにセミナーのストーリーを検討すればよいのでしょうか。それは申し上げるまでもなく、『自分なら、どのような保険を、どう契約したら納得するか』を考えるところから始まります。まず《自分や周囲の関係者を顧客に見立てて保険を勧める想定を試みる》わけです。
その次には、配偶者や子供あるいは両親を想定して、《どう言えば保険に興味を抱くか》を考えることになります。その事例は、これまでも多々ご提供して参りましたが、《ご自身の感性》での選択が重要です。

6.内容や話法が思いつかない時の取り組み

話の内容が思い付かなかったり、思い付いても《自分の案に自分が共感できな》かったりする場合は、簡単に諦めず、他者の見解やトーク例を探してみることが大事です。疑義を疑義のままで放置し、教えられたトークや他者のアイデアのみで動くと、見込み先の前での話に一貫性や迫力を持ち得なくなる恐れが出てしまいます。そうでなくても、迷いの中にある人の話には誰も共感しないでしょう。
確信を持って話す人には、強烈な反感者が出ることもありますが、同時に強力な共感者が出る可能性も強くなるはずです。学校の先生ではないのですから、反感者の説得を試みる必要はありません。反感者の意見を真摯に拝聴して、ありがたく呑み込むことです。消化できれば栄養になりますが、できなければ流してしまいましょう。

7.確信できる話の流れは対面営業にも必須

共感者の多いセミナーの講師は、他者の受け売りや表面的な話ではなく、自分の確信から語っているケースが少なくありません。時々『なぜ、こんな人の話が受けるのだろう。話がうまいわけでもないのに』と感じる講師に出会うことはないでしょうか。しかし、それは《あなたがその講師の反感者だから》であって、その講師に問題があるわけではないことの方が多いのです。
そして、共感者の多い講師は、セミナーに限らず《対面営業》にも強いのです。確信を持って事実を語る人には、必ず賛同者が出るからです。

8.行き詰まりをも打開する異なる道の検証

ただ、確信には至ったのに、話し方に自信が持てないような場合は、参考にしていただきたい手法があります。多分、このコラムの下に紹介されることになるのでしょうが、あくまで手法としての参考です。ただ、その参考の中には、事例も少なからず含んでいますから、《確信探し》の参考にもなり得るかも知れません。
今回セミナー講師にこだわったのは、『対面営業は得意だが、セミナー講師は無理』という考え方に、ある種の消極姿勢を感じるケースが少なくないからです。そして、迫力のある対面営業をしている人は、ご本人がどう謙遜しようと(大抵の人が謙遜されますが)、《セミナー講師もできるけれども対面営業を選んだ》というだけなのだと感じることが多いのです。
そもそも、そんな共感獲得者がセミナー講師にトライしないのは社会的損失かも知れませんし、その一方で、セミナー内容を考えることは、対面営業力の強化に繋がると考えて、今回のようなお話を差し上げました。

 

生命保険提案ストーリーの作り方

提案とは、実際に何をどうすることでしょうか。生命保険の提案ストーリーの作り方自体を本講座で公開。

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顧客の信頼を得るには、提案者や営業者のアプローチ・コンセプトの確立が不可欠です。その視点や方法を解説。