1.提案に際して《文書》が必須になる理由

新たな保険を提案する時、その保険の有効性や内容、あるいは保険料や解約返戻金等を詳しく説明するのは当然のことです。生命保険の場合は特に、死亡保障額や保険種目別に《選択肢》を提示することもあるでしょうから、それらの《違い》の説明も重要になります。
しかし、そんな話を《聞いて直ぐに理解する顧客》は稀でしょう。理解が速い顧客でも、決断に際しては《内容の再確認》を行いたいはずです。その再確認のための《参考文書》が必須になります。

2.提案書が必須になるとは思うのだが…

いずれにしても、後日、提案内容が再確認される時、顧客は《記憶》ではなく《記録》を参照します。その際に役に立つのが《提案書》なのです。
顧客が後で提案された内容を再現しようとする時、まとまった提案書なしに、商品案内や証券、あるいは相続税等の資料等がバラバラなまま《ドサッと封筒に入っている》だけでは、用をなさないことの方が多いのです。

3.提案書作成は《制限》がない時でも面倒

しかし保険業界では、自作の提案書には《コンプライアンス等の制限》が伴うことがありますし、自由に自作が出来る場合でも、いちいち《提案書を作るのは面倒》に違いありません。
特に、契約する可能性が必ずしも高いとは思えない先に、時間をかけて提案書を作る気にはなれないことの方が多いと思います。
ところが、提案書を特別に作成しなくても、あるいはコンプライアンス上の制限があっても、提案書が持つ《効果だけを実現》してしまう方法があるのです。

4.提案書なしに実現する《提案書効果》

《提案書効果》、すなわち顧客が後々《提案内容を再現》できる効果は、簡潔な《資料案内メモ》でも実現することが出来ます。
たとえば、それは『相続税に関わる資料は○○として準備しています。不動産資産が多い◇◇様は、不動産の評価額に関する○ページをお読みください。黄色い付箋をつけています。ただし、相続税の全額を生命保険で用意することが必須ではないはずですので、ご予算に合わせて、保険は設計書A~Cの3つの選択肢をご用意しました。なお、その他のご参考資料はコレコレで、必要なページにピンクの付箋を貼っています』等という、ひたすら事務的なメモなのです。
メモの末尾に『ご不明の点がございましたら、○○までご一報ください』と記せば、更に気持ちが伝わるでしょう。

5.提案は内容と検討の要点の提示の道具

提案は、提案する《保険の内容》とその《必要性や効果あるいは負担額》の他に《何をどう検討するかの道案内》があれば、それで十分かも知れないということです。不明点や不足があれば、後日質問を受けてから回答することもできるからです。
そのため、《保険の内容》を商品パンフレットや設計書に任せ、《必要性等》を出来合いの印刷物の中から抜き出す形で提示しながら、営業者の皆様は《諸資料が持つ意味と検討の道筋》案内のメモ作りに、ひたすら徹することに意味が出て来るわけです。

6.重要なのは営業者の意図を伝えること

生命保険に限らず、とうとうと話をした後で、『詳しくは資料をご覧ください』として、案内メモのない資料を置いて帰ってしまう営業姿勢や、郵送やEメールの添付ファイルで、ドサッと資料を送り付け、後日『先日お送りした資料はお読みいただけましたか』と問う方法では、顧客は面倒を感じるだけでしょう。
なぜその資料を渡すか、その資料のどこをどんな順番で読んで欲しいか、迷った場合にはどの補強資料に目を通して欲しいか、それでも不明な点は、どんな手段で質問して欲しいか…、そんな営業サイドの《意志》や《意図》を、メモを通じて顧客に伝えることが、想像以上に重要になるのです。

7.面談に劣らぬ効果をも《メモ》が実現

こうした《意志表明》や《意図開示》の技術が、自然な形で身に付くと、提案書を作る場合でも、それが面倒ではなくなるでしょう。意志や意図以外の部分は、結局のところ《諸資料の引用》に他ならないからです。
面談を回避して、メールや郵送で資料を送るような際にでも、この《メモを作る技能》が身に付くなら、面談に劣らぬ効果を得られるケースも増えるはずなのです。

8.このコーナーの狙い

そうした《実質的》あるいは《実務的》な観点から、今日的な状況に即応する《提案力強化法》を、ご一緒に考えて行くのが、このコーナーの狙いです。もちろん《メモ》技術だけではなく、提案時に役立つ《事例》のご紹介も進めて行きます。

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