いわゆる《ニーズ》を持つ人を探すマーケティング手法を駆使して《見込先》を作れたとしても、《生命保険の話》を切り出せなければ意味がありません。その意味で生命保険のマーケティングは、かなり特殊なものにも見えます。ただ、どう特殊なのでしょうか。

1.マーケティングって、そもそもどんな意味?

マーケティング(英語)には“日本語訳が作れない”と言われることがあります。しかし、マーケティングには、名詞ではなく動詞としての“マーケット”に《ing》がついたものだと捉えることが可能でしょう。動詞の“マーケット”には、“販売を促進する”という意味がありますから、マーケティングは《販売促進をすること》あるいは《販売促進》自体を意味することになるわけです。
ただし販売促進の英訳は、どちらかと言えば《セールス・プロモーション》です。そのため、マーケティングは、具体的な“販売促進活動をできるようにする”ための関係や基盤の形成法だと言えるかも知れません。
そして、そのために業種や取扱商品毎に、マーケティングは多様な性質や内容を持っているわけです。

2.損害保険のマーケティングは分かりやすい

同じ保険でも、損害保険と生命保険では、マーケティングの働きが大きく違うのは、そうした多様性の好例だと思います。たとえば住宅の火災保険を例にすると、自分が所有する家に住む人、賃貸物件に住む人、物件を貸す人がいて、それぞれがそれぞれの住居や家財を災害時に補償してもらうニーズを持っています。
そのため、ニーズを持つ人に至るのは案外容易で、住宅メーカーや不動産会社、あるいはローンを提供する金融機関との“提携”で、見込客を捕まえることができるのです。つまり、保険会社の損害保険のマーケティングは、住宅の売買や賃貸をコントロールする会社や機関との“提携”を勧めることで、急速に実現して行くわけです。
もちろん、保険代理店が独自に開拓する市場もあるでしょうが、代理店活動としては、保険会社が作る“仕組み”に乗って、金融機関からの相談受付を任されたり、クロージングやその後の契約更新を引き受けたりする方が、効果的なビジネスになるケースが多いと思います。

3.生命保険は“一筋縄”では行かない事が多い!

ところが、同じ発想で生命保険の《マーケティングの仕組み》を作ろうとしたら、むしろ“うまく行かない”ことの方が多いのではないでしょうか。住宅ローンの《団体信用保険》は別ですが、たとえば遺族保障や相続税納税対策、企業の信用保証や福利厚生、個人の老後保障や医療保障等、様々なニーズが考えられるのですが、肝心なことがつかめないからです。
その肝心なこととは、“そのニーズを誰が持っているか”ということに他なりません。それは、火災保険を売る時、『住宅の新築者なら、必ず火災保険を契約する』とは分かっていても、誰が自宅を新築するかが“分からない”時に似ているでしょう。

4.結局、個別に見込先を発掘する活動が不可欠

“住宅の新築者は、住宅メーカーと提携すればすぐ分かる”という、損害保険のような“提携関係”を持たない、あるいは持てない生命保険では、結局のところ“見込先をコツコツ探し出す”という営業活動が不可欠になります。
その結果、マーケティングに取り組むと言っても、結局“営業活動をしているだけ”ではないかと感じてしまうのが、自然かも知れません。
しかし、そこで留まらずに、もう一歩進んでみると、生命保険のマーケティングの意味が、だんだん明らかになって来ることが多いのです。

5.探し出す営業から創り出すマーケティングへ

なぜなら、個々に顧客を探し出す活動に徹していると、当然のように“あること”に気付くからです。それは『顧客は案外、自分のニーズも、その実現法も分かっていない』という現実です。いったい、『生命保険の話は不要』と即答する顧客の中の何人が、自分や家族に襲いかかる災難をイメージすると同時に、生命保険の働きの大きさを理解しているでしょうか。
そして『今日、たくさんの顧客に話しかけたけれど、誰も生命保険の必要性が分かっていない』と感じたら、そこには当然『もし、この人たちが生命保険の働きを理解したら、そのまま見込先になり得るのではないか』と思えて来るはずなのです。
その意味では保険のマーケティングは、大勢の顧客候補先から生命保険を必要としている人を探し出すというオーソドックスなスタイルのみならず、目の前の顧客候補に“生命保険の有用性を理解”させて、そのまま見込先にしてしまうという発想に移行し始めることになります。
そして、その発想の移行先こそが《顧客(見込み先)創造型のマーケティング》なのです。

6.実践的で日常的なマーケティング・イメージ

そんな《顧客創造》発想のマーケティング活動を、日常のビジネスに取り込んで頂く実践サポートを行うことを目的に、《気付きリードマーケティングの会》が発足しました。2000年4月のことです。
会員の実際の活動は、《法人や個人の顧客が保険営業者の皆様の存在感や保険の有用性を感じとるきっかけ》を作るための経営レポートや個人向け情報の発信から始まります。 それが、企業経営者や、ターゲットとする個人層の保険に向けた意識を高める上でも、皆様方の提案チャンス拡大の点からも、最も効果があると考えられるからです。

コロナ禍で、生命保険《営業》への逆風が更に強まる中、今、改めて原点戻りの必要性が大きくなったと感じています。ぜひ、先行きを見失いがちになっている昨今、情報発信者になって顧客をリードする関係性を構築する方法に、皆様方も改めて目をくけていただきたいと願うのは、以上のような背景があるからです。

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