昨今では保険の提案や打診の前に、それらに至る《動機形成》が益々重要になって来ています。特に生命保険を《自分事》として考える顧客層が減って来ているからでしょう。
では、どうすれば《動機形成話法》を習得できるのでしょうか。今回は、その話法を捉えてみたいと思います。

1.先行きの危険等指摘では顧客の意識は不変

当然ですが、先行きには、たとえば『高齢後の課題』とか『収入を持つ人が急死した時の家族の悲惨』とか『病気の危険』とか、大小様々なリスクがあります。そのため確かに、そんな先行きリスクを声高に伝えるだけでも、保険契約の見込み先を獲得できる時期もありました。
しかし、多様な情報が精粗まちまちに入り乱れている今日、先行きリスクを《保険の効用への正確な知識》獲得の前に意識してしまうと、顧客層は必要な情報を整理できないまま不安と向き合うことにもなりかねません。

2.不安に向き合う人が選択しがちな2つの道

その整理が、自分の手に負えないと感じると、私たちは《不安にフタ》をしてしまいます。考えないようにするわけです。そうなると当然、保険の話にも耳を貸さなくなるでしょう。
逆に、何とかしようとして自分流に考える人は、多くの場合『先行きリスク対策は貯蓄に限る』と思い込みやすいのです。一番《分かりやすい》からです。たとえば周囲に『医療保険に入るくらいなら、保険料分を貯めた方がマシ』と言っている人はいないでしょうか。

3.貯蓄志向者になってしまうことの問題は?

そして、《貯蓄志向者》が保険の話を聞くと、真っ先に感じるのが『保険料で貯蓄が減る』という、いわば表面的な事象でしょう。そのため、新たな見識を得ないままに不安に向き合ってしまう人は、お金を誰かに支払う話に反感さえ抱いてしまいやすいのです。
こうして、不安にフタをする人も、不安に向き合おうとする人も、保険料の名目で自分の財産を奪われる保険の話に耳を貸さなくなるわけです。保険の効用を正確に知れば、それが誤解だと分かるのに…。

4.ちょっとした試行で自分の誤解に気付ける

その誤解は、生活あるいは事業の先行き予算を目的別に作ってみれば、かなり容易に解くことができます。つまり、足元の資金余裕と今後の収入の中で、『この資金は、子供の教育資金、これは老後資金用、これは住宅資金、これは将来の病気治療対策に充てよう』という類の《目的志向型予算》を作ってみるわけです。
すると突然、『コツコツ貯めるのと、医療保険に入るのと、どちらが有利なのだろうか』という比較が始まることが少なくないのです。しかもその時、コツコツ貯めていては、来月あるいは来年の病気等には間に合わないという思いをも抱けるかも知れません。

5.話を聞かないから保険の良さが分からない

それでも、『いや、病気等にならなければ、保険料分が損になる』と思うなら、保険料積立型の契約をすればよいでしょう。その時、『支払保険料分の満額は戻って来ない』と不満なら、『契約期間中に本当に大病をしないかどうか』を検討してみるべきだと思います。
そして解約返戻金相当分を、色々な必要や誘惑がある日常活動の中で、本当に自力で貯めることが出来るかどうか、自分に問うてみるべきだと思います。

6.説得や説教よりも《イメージ提示》で迫る

ただ、そんな説教みたいな話を顧客にできるのでしょうか。もちろん《説教》は難しいと思います。しかし、その内容を『Aさんは、先行きの予算を想定してみる中で、病気対策なら《医療保険》を考えるべきではないかという思いに至った』という《事例話法》でなら、話しにくいものにはならないはずなのです。
事例話法とは、たとえば、友人を旅行に誘いたい時、旅行の楽しさや旅行の効用を語るより、『こんな素敵なところがあって…』と言いながら1枚の写真を見せるようなものです。『Bさんが撮って来た写真だけど、他にも楽しいことがあったそうで…』と、話を加えることもできます。

7.堂々と私見を語り切れるのが事例の魅力!

話は全て《Bさん自身が感じたり考えたりしたこと》ですから、その内容を証明する必要はありません。その内容が事実あるいは確かなシチュエーションをイメージさせるものである限り、事例の聞き手が《どう感じて、どう決断するか》の問題になるからです。
しかし、旅行はともかくとして、保険検討に関して、そんな便利な事例があるのでしょうか。そして、それは《売りたい保険》につながる話になっているのでしょうか。

8.《事例自作法》はコロンブスの卵だった?

自分の営業にピッタリの事例は、なかなか見当たらなくても、『自分で事例を作る技術』があれば、事態は一気に変わります。話したいことを、現実的なイメージが湧くシチュエーションの中で、登場人物に語らせる観点と方法を習得すれば良いわけです。
それは《簡単》ではないかも知れませんが、《コツ》を覚えれば『何だ、そんなことか』と感じる《コロンブスの卵》的なものでもありそうなのです。その《卵》を見ると、『Cさんが、こんな保険を契約しました』とか、『今人気の保険がコレです』という話法が、実は《事例話法》とは程遠いことも、容易に感じられると思います。
詳細については、《3つの事例サンプル》付きの事例作成法講座で、ご確認ください。

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