あちこちで不可解な犯罪や事件が発生する昨今、それ故に疑い深くなった私たちは、容易には人の話を聞かなくなったかも知れません。特に《にこやか》にかつ《説得姿勢》でやって来るセールスパーソンには、当初から警戒心を露わにし、冒頭から『ノー』という意思表示をしてしまいがちです。
そんな中で、今後の保険営業には《どんな道》あるいは《どんな近道》が残されているのでしょうか。

1.先行きの話をしても《つまらない》理由は

少し前までは、『将来の話はしたくない』とか『先行きの話をしても意味がない』という声が聞かれました。ところが最近では、先行きの話を持ち掛けても、『別に(どうでもいい)』という種類のリアクションが増えているかも知れません。
その理由はたぶん、将来(先行き)を考えること自体に、面白さや興味深さを感じ取れなくなったからでしょう。今も《結構、つまらない》のに、先行きは《もっと、つまらないもの》になりそうだからです。

2.将来の話が重苦しくなりがちな現代の状況

そんな重苦しさを持つ《将来》に、保険営業は踏み込んで行かなければなりません。申し上げるまでもなく、保険は先行き(のリスク対策)のために検討するものだからです。
逆に言うなら、先行きを考えない人にとって、特に生命保険は《意識の端もかすらない》ものになりかねないからです。
この《一種の憂鬱》の中で、それでも切り出せる《話題》があるのでしょうか。

3.考えるのが嫌いな人でも興味が持てる疑問

そんな《憂鬱をしのぐ話題》の1つに《疑問共有》があると言えそうなのです。なぜそうなのでしょうか。その理由を理屈で捉えようとする前に、たとえば『大谷翔平選手が活躍している野球では、なぜあんなに硬いボールを使うのか』という疑問を持ったり、考えたりすると納得しやすいかも知れません。
私たちは通常、『どうしてか』という疑問を持つのが好きなのです。それは恐らく、《疑問が解けた時の快感》が、とても大きいからでしょう。

4.野球ではなぜ《硬い》ボールを使うのか?

さて、余談になりますが、野球ではどうして《硬いボール》を使うのでしょうか。野球の前身であるクリケット(イギリス発祥のスポーツ)で硬いボールが使われていたからだと言われます。野球はほぼ、そのボールの硬さを継承しました。
では、なぜクリケットのボールは硬いのでしょうか。それは柔らかいボールだと軽いため、クリケットのピッチャーが投げるワンバウンドさせるボールの軌道が定まらないからであり、バッターがクリケットのバットで打っても遠くへ飛ばないからです。

5.硬式球が野球を《スポーツ》に高めている

広いスペースでできないなら、子供の遊びの《三角ベース》のように、少人数でしか楽しめません。しかも広い場所でプレーできなければ、大勢の観客を集められません。クリケットや野球がスポーツという娯楽として成立するためには、ボールは硬いものでなければならないわけです。
ただ『そんなことを知っても何になる』と言いたくなりますが、それは《知った後》の感想ではないでしょうか。疑問を残したままでは、気になって仕方がなかったかも知れません。

6.知らないままでは苦痛で、知ることは喜び

私たちは基本的には《知的な生き物》であるため、《知る》ことの喜びは非常に大きく、《知らない》ことの苦痛は想像以上に深いのです。そのため、たとえば、よく知らない地域や友人がいない集団には近付きもしないことの方が多いでしょう。見知らぬ地域や見知らぬ集団の中では《知らない苦痛》が異様な程に大きくなるからです。
ところが《熟知している》地域や集団の中でも、新しい発見や疑問の解消がないと、私たちは飽きて来ます。そこに《知らない苦痛》はなくとも《知る喜び》を見出しにくくなるからです。

7.素朴な疑問を大事にしてくれる相手が大事

その意味では私たちは、心の底で《身近で新しい疑問》を探し続ていると言えるかも知れません。ただし、それが《知る喜び》を得る前に《知らない苦痛》を呼び起こさないように、慎重に生きているとも言えそうなのです。だから、そんな慎重姿勢が強くなり過ぎると《疑問》にフタをしてしまうのでしょう。
そのため、《知らない》ことをバカにしたり非難したりしない人と、《不思議点》や《疑問点》を共有することができるとしたら、それはとても興味深いことなのです。

8.なぜ《生命保険》が必要なのかと捉え直す

たとえば『なぜ生命保険が必要』なのでしょうか。『医療保険はどう』なのでしょう。そんな疑問に対し『それはですね…』という説得が始まるのではなく、保険営業者の皆様が『ああ、私も深く考えたことがありませんでした。そうですよね。疑問を持つ方が自然かも知れません』という姿勢をとるなら、その対話は面白いものになるという《期待》を持たせないでしょうか。
保険の必要性なら《常識》になっている人でも、そんな疑問を持ってみる中で《保険の新たな働き方》を発見できるかも知れません。

9.買い手にも売り手にもエキサイティング?

しかもたとえば、現実味のある《他者事例》を見ながら、『なぜ能力のある人が幸せになれないのだろう』とか、『将来設計はなぜ行き詰まりやすいのだろう』とか、あるいは『経営者が生涯現役を貫けるのか』とか、『そもそも事業承継は必要なのか』とか、そんな風に《疑問を抱いて考える》機会が持てたら、自分の先行きに、少しでも興味が持てるようになるかも知れないのです。
その時『保険が解決します』という単純なトークではなく、顧客と一緒に、まずは《疑問を共有》する時、自然な流れで『あっ、そうか』と、生命保険や医療保険の《今まで見えなかった働き》が明るみに出て来そうなのです。保険の効用は想像以上に《奥が深い》からです。
そんな形の《疑問共有》は、保険ユーザーのみならず、保険営業者の皆様にも、エキサイティングな展開を提供してくれそうなのです。

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