事業経営者に《個人》視点でアプローチ

経営者は会社という資産を持つ個人
企業経営者も《会社という資産を持つ個人》です。そして《守る》べきなのは、《法人》のみではなく、経営者《個人》でもあるはずなのです。そうした視点があれば、経営者へのアプローチも、少し違ったものになりそうです。

(執筆:森 克宣 株式会社エフ・ビー・サイブ研究所)

1.昨今の企業経営者事情を再確認しよう

企業経営者を、単に《企業保険》のターゲットとして見るなら、生命保険提案アプローチには、やや《重荷》を感じざるを得ないかも知れません。少なくとも、部分的にでも《経営》や《組織》の課題に触れなければならないからです。

 更に、昨今の情勢を捉えるなら、既に《考える余裕》がない状況に追い込まれている法人も、少ないとは言えないでしょう。経営者が若い企業でも同様かも知れません。

2.自社株を保有する経営者の事情

しかし、中堅中小企業の経営者は事業や事業資産のことばかりを考えていれば良いのではありません。未上場企業の経営者は、経営者であるとともに《自社株の保有者》であるケースが、圧倒的に多いからです。

特に、自社株の株主であることは、たとえるなら、《いつ元本割れをするか分からない投資》を抱えている資産家でもあるということを忘れるべきではないのです。

3.上場株式の保有とは根本的に違う

株式を上場している大企業の株なら、その株価が急落しそうな時に、売却することができます。損をすることはあっても《元も子もなくなる》状態回避は可能でしょう。

そのため、《上場企業の株式》という資産は、金融資産として捉えられるのが一般的です。銀行預金程ではなくても《現金化が容易》だからです。しかし、中堅中小企業の株主である経営者が、その株式を売却するということは、会社全体を手放すことになりかねません。しかも、売却には多々面倒な交渉や手続きが伴うのです。

4.企業倒産時の経営者の損と更なる責任

そればかりか、企業が倒産すれば、保有する自社株は全て紙切れ同然になります。自分の出資に対するリターンが得られないということです。もし、その倒産時に、経営者自身が保証人になっている借入金があれば、その返済も迫られることになります。

もちろん、《無担保ローン》や《保証人なしの融資制度》がありますが、その際の《審査》には、やはり厳しいものがあります。本来《金融資産に似た財産》を株式として保有しているのに、簡単に資金不足に陥りやすいのが、中堅中小企業経営者の特徴だとも言えるのです。

5.相続制度で経営者家族にも影響が及ぶ

しかも、話はまだ終わりません。中堅中小企業の自社株には《相続》が絡むからです。その際、経営者の子が会社経営に参画していなくても、相続して、相続税を支払わなければならないケースが出て来ます。

後継者でない相続人が自社株を承継すると、経営者死亡によって、もはや成り立たなくなりつつある会社の経営権を、相続税を支払って《承継》することにもなり得ます。自社株の相続税評価額は、相続発生時(経営者死亡時)を基準に定められるからです。

6.面倒極まりない《所有》と《経営》の合体

中堅中小企業の《経営》と《会社財産保有》の合体物は、何と面倒なのでしょうか。それは、証券取引所での《株式》売買を前提とした株式会社制度を、出資者が経営者とその家族だけの《同族企業》にも援用した宿命とも言えるかも知れません。

では、そうした面倒さを、中堅中小企業経営者は十分に《意識》できているでしょうか。そこが大きな問題なのです。

7.経営者個人の財産(自社株)まで意識が及びにくい

中堅中小企業経営者は、株式投資家と事業経営者を兼任する存在ですから、株価がどうなるかという投資家視点よりも、当然《事業運営=経営》に意識が集中するのが普通でしょう。その結果、自社株の存在が、経営者自身とその家族に《どのような》影響を与えるかについては、だんだん意識が遠ざかる危険も出てしまいやすいのです。

たとえば、法人税等の節税に熱心な経営者は、今も存在します。しかし、特定の制度を利用するのでなければ、節税は何らかの形で《損》を出さなければ成立しません。損を出すと、確かに納税額は減りますが、同時に《純資産=株主資本》も減ることになります。節税マニアは、納税額を圧縮して《手元資金》の減少を阻止したつもりでも、出資者である経営者自身の財産を、徐々に食いつぶしているとも言えるのです。

8.ハラスメント防止法の余波まで受けて…

さて今、そんな経営者が、社内では《ハラスメント防止法の嵐》をまともに受けています。そんな四面楚歌の経営者に《エール》を送ることはできないでしょうか。あるいは《エール》を送りたくならないでしょうか。

そんな時、『生命保険には何もできない』とは言えません。経営者が個人で契約する生命保険のみならず、会社が保険料を負担する企業保険まで視野に入れると、経営者の《事業防衛に関わる負担感を分散》することも不可能ではないからです。

9.経営者個人ではなく組織が応分の負担をする

たとえば、将来の施設や設備の更新資金や新規投資資金、あるいは事業の終焉やM&A実現の準備資金等は、経営者個人が全面的に作るべきものでしょうか。それとも、会社の従業員が団結して、《もっと利益を出す努力》に取り組むことで、自分達の働く場の確保に努めるべきものでしょうか。

従業員は、経営者が集めた《お客様》ではありません。経営者と共に事業を推進する、いわば《同志》でしょう。その同志群が力を合わせて将来資金(生命保険の死亡保険金や解約返戻金)を作るのは、理に反しているでしょうか。

10.中堅中小企業経営者の援護射撃

そんなスタンスに立てば、生命保険には《中堅中小企業経営》の援護射撃も可能だと思えて来るはずなのです。

中堅中小企業の経営者に《何を保障させるか》ではなく、経営者が組織構成員と共に、将来の自社のために《どんな準備ができるか》という視点に立つなら、中堅中小企業経営者へのアプローチの道は、多様にあると言えるのです。

経営者へのアプローチを得意分野とされていないケースでも、一度、具体的なアプローチ検討をお勧めしたいと思います。

関連講座ご案内

《経営者アプローチ・ツール》のセットと動画解説

関連記事