どんなタイプの経営者にも《持って行ける》話題

(執筆:森 克宣 株式会社エフ・ビー・サイブ研究所)

法人へのアプローチには、確かに“経営者メリット”が必要です。経営者は、自分にメリットがない話を聞こうともしないことが多いからです。
しかし、求められるのは“節税”等の特定メリットとは限りません。では、アプローチ段階で求められる“経営者メリット”とは、どのようなものなのでしょうか。
それはむしろ、保険営業者の皆様にも“身近”な“モノ”かも知れないのです。

1.多様な経営者層に“一つの起点”から斬り込もう

法人の経営者は、開業したての人や事業承継をしたいのに生涯現役を貫くことを強いられる人、あるいは事業に成功している人や業績が思わしくない人、取引先と良好な関係を築いている人や孤軍奮闘を強いられる人等非常に“多様”だと言わざるを得ません。
しかし、法人体制で事業を展開する経営者には、必ず“共通”している“ポイント”があります。しかも、そのポイントは、特に“経営者個人”にとって非常に重要であるにも拘らず、事業業績に直接影響するケースが少ないために、案外忘れられがちなのです。
しかも、後に問題が起こってしまい、その時には既に手遅れであることも、決して少ないとは言えません。

2.法人経営者に共通する財産保全ポイントとは?

さて、その“共通ポイント”とは、中堅中小企業のほとんどの経営者であるとともに、出資者(自社の株主)でもあるという現実です。
それが、たとえば“節税”対策を考える時には、すっかり忘れられてしまうのです。法人税と、法人税や法人所得をベースに課税される法人住民税及び事業税等は、利益が出ると拡大し、損をすると縮小するのが普通です。住民税は、赤字企業にも“均等割”として、何らかの課税がありますが、法人税や事業税は赤字なら無税です。
そして、現実問題としての“節税”とは、会計上“赤字”を出したり、利益を“圧縮”したりして実現する施策で、純資産つまり自分が持つ自社株の価値を下げるものなのだということなのです。

3.自社株を持つ経営者の《将来》を変えてしまう

新たに資金を借り入れる時や自分の会社を売却しようとする時、あるいは代表者を退いて退職金をもらう時や会社を解散して出資金を取り戻す時には、純資産の状況次第で、経営者の“個人的な損得は大きく違って来る”ことになります。
しかも、事業の寿命よりも経営者自身の寿命の方が長いとさえ言われる昨今、この“経営者自身の株主としての財産の保全”は、決して軽視できるものではなくなりました。
今年度“節税”ができても、将来に負債を残すようでは、話になりません。

4.高齢化でなかなか《相続の時》が来ないから…

ただ以前なら、事業承継を前提にした会社では、確かに会社の純資産を減らして、その分自社株の評価額を下げて相続税を圧縮する形で、事業を後継者に繋ぎ得るメリットもありました。ところが今、経営者は引退の後も長生きするのが普通です。
こう言ってよければ、いつまでたっても相続が発生しないのです。はたして相続発生まで会社が持つでしょうか。あるいは結局会社は儲かって、自社株評価額が上がり、後継者が多額の相続税を支払うことになるのでしょうか。
経営者の《長寿化》は、会社の純資産に関わる常識を、大きく変えてしまったのです。

5.生涯現役経営者も従業員の意識変化の中で苦悩

生涯現役経営者なら、超高齢に達して引退を考える時、会社の純資産は多いに越したことはありません。会社を清算した時に益が出れば、それを退職金として受け取れるからです。
ところが、ここに新たな問題が生じます。それは昨今の『会社は経営者だけのものではない』という社会感覚の登場です。会社が利益を出し、純資産を増やしているのに、それを将来の経営者のためだけに残すべきでしょうか。否、昨今の風潮では、会社が利益を出したなら、それに貢献した従業員に分配すべきだという話になって来るでしょう。

6.法人は法人で経営者個人は個人で先行きの準備

そのため、経営者自身の老後や事業承継者個人のことを考えるなら、会社の純資産とは別ラインの準備をしなければならなくなって来るのです。結論を急ぐなら、『今、経営者は個人契約の生命保険の重要性を見直すべ時に来た』ということです。
老後に自社株を後継者に相続させる時にも、会社を清算してしまう時にも、会社の財産とは別に、個人の死亡保険金や解約返戻金でカバーする発想が必要だということです。
もちろん従来型の企業保険も、経営者急死の時の法人保障や、将来再建投資等が必要になった時の原資として残して(契約して)おくべきでしょう。

7.昨今の社会風潮下の古くて新しい保険の切り口

法人は法人、個人は個人で準備する…、そんな発想に立たなければ、今後の社内士気の維持向上は非常に難しくなると言えるのです。そしてそこに、古くて新しい生命保険の切り口が生まれて来るのです。

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