保険営業パーソン“ならでは”の実践的な企業経営支援とは?

(執筆:森 克宣 株式会社エフ・ビー・サイブ研究所)

保険営業者の皆様が、現実的な形で取り組む“経営支援”は、なかなかイメージしにくいかも知れません。しかしその“イメージの難しさ”が、皆様の“経営者”に対する姿勢を“低過ぎる”ものにしてしまうなら、問題なしとは言えないでしょう。
なぜなら、経営者であれ、誰であれ、敬意を示しにくい先からの“提案”は、なかなか真摯に受けとめることが難しいからです。その意味で、経営者への“提案”を考える保険営業者の皆様は、堂々と“経営の支援者”のポジションに立つ必要があるのです。
ただ、それは、具体的に“どんな姿勢”をとることなのでしょうか。

1.一流の料理人が“顧客”に対して腰が低い現実的な理由とは?

たとえば、かなり名の通ったレストランのシェフや料亭の料理長でも、必ずしも顧客に対して、“上から目線”でいられるわけではありません。むしろ腰が低い人が多いでしょうし、そうでなければ、顧客の前に顔を出そうともしないでしょう。

ただ、そのシェフや料理長が“テレビ”に出てしまうと、様子が一変します。こう言ってよければ、料理の腕前は“そこそこ”でも、態度は驚く程“大きく”なっているのではないでしょうか。それは、他者(他の料理人や顧客)には容易に経験できない“テレビ出演”を成し遂げた?成果でしょう。
では、テレビ出演とは無縁の料理人に、腰が低い傾向があるのはなぜでしょうか。

2.多くの人が“一目”置いてしまう相手とは?

それは恐らく、顧客が様々な“料理人の料理を経験する”のに対し、自分には、それほどの経験が持てないからだと思います。そのため、自分には“把握できない”尺度で、自分の料理を評価する顧客を、下には置けないのです。もちろん、その料理人も、自分の料理の腕前を知っている知人に対しては、強い立場をとるかも知れません。

いずれにしましても、“自分には計り知れない尺度”で、自分を“他と比較”しながら評価する“立場”にある人には、どうしても“一目”置いてしまうのが、私たちの傾向だと言えるようなのです。

3.優れた経営者にも持ち得ないモノを持つ保険営業のポジション

このパワー関係を知ると、企業経営者に対する“ポジショニング”のあり方が見えて来るのです。企業経営者は、どんなに優れた人でも、自社以外の経営実態を“知る”機会に恵まれません。経営者の会合等も盛んですが、それも意外に“限られた”ものです。
ところが、保険営業者の皆様は、数多くの経営者をご存じなのではないでしょうか。そうでなくとも、“知る立場にある”と言えるはずです。これは、先の料理人と店の顧客の関係に似ているのです。
店の顧客が、料理人が作る料理自体の話をしてしまうと、料理人には全く“歯が立たない”でしょうが、他の店の料理やメニューの話を始めるなら、料理人には“及び難い”ポジションを、無言で形成することが可能になるのです。

4.時代は変わっても“ポジショニング”の重要性は変わらない!

『そんな勝負が必要なのか』と言われると、そんなところで“はり合う”必要はないと言いたくもなりますが、いざ“提案”をしようとした時、企業経営者の姿勢は、保険営業者の皆様の“ポジショニング”によって違って来ることは現実でしょう。昭和期や平成初期の保険営業で、『今(儲かっている会社は)みんな、この生命保険を契約していますよ』と言うだけで、営業サイドの立場が強かったのは、そのためだと思います。

ところが、その後の経過の中で、“皆契約していますよ”というタイプのトークは効かなくなりました。逆に、顧客から“保険営業の実態はインターネット検索で、すぐに分かりますよ”という顔をされてしまうことが増えているかも知れません。
しかし、そんな今だからこそ、有効なポジションがあるのです。

5.保険営業者の皆様ならではの“経営支援者ポジション”とは?

それは、経営事例の“提供者”ポジションです。たとえば、経営者から『最近、従業員を叱っただけで、パワハラだと言われる』という話を聞く時、『そうですよね。嫌な世の中ですね』と井戸端会議で終わらせるか、『そんな話をよく聞くようになりました。でも、ある経営者の方が、一つの対処法を教えてくれました。それは…』という“経営談義”にしてしまうかで、関係のあり方は、大きく違って来るはずなのです。
経営者が『なるほど、そんな考え方もあるのか…』と感心すれば、その時点で、保険営業者の皆様は、実質的な“経営支援者”になり得ます。
もちろん、それが“関係形成”に留まらず、“保険提案”ポジションをも、自然な形で強化してくれるのです。

6.話しにくい保険活用法も“事例”としてなら語りやすい

なぜなら、“事例の提供”によって経営支援者のポジションが確立されれば、生命保険契約の“事例”も、その流れの中で“語りやすくなる”からです。
たとえば、『ある経営者の方は、法人が契約する企業保険の被保険者は、自分ではなく後継者であるべきだとおっしゃっていました。その理由には、後継者様を被保険者にした方が、同じ死亡保障額でも保険料が安いという面もあるのでしょう。しかし、そればかりではなく、後継者様を被保険者にした方が、社内の収まりが良いと言われるのです』等と、話し始めるのです。

経営者が被保険者になると、経営者が自分の退職金を準備しているように感じ取られがちですが、後継者が被保険者になると、ちょっとニュアンスが違うからです。後継者の急死で企業の先行きが怪しくなった時も、企業に支払われる死亡保険金を、一つの原資として、現経営者が“何とかしてくれる”という期待感と、経営者交替時などで、何かがうまく行かなくなった時、後継者が生命保険を解約して、それを原資に企業建て直しに取り組めるという話が、分かり易くなるのです。

7.保険の話が切り出しやすくなる“環境”形成効果

そんな“事例”で語る時と、いきなり『是非、後継者様を被保険者に、この保険をご検討ください』と言う時では、話しやすさは大きく違うでしょう。しかも『うちは、そんなことは考えない』と経営者に拒否された時も、保険を勧めた時とは違って、事例に習うことが否定されただけですので、次の提案チャンスが失われるわけではありません

逆に『ほう、なるほどね』と共感されたら、本格的に保険の話に入れるでしょう。
経営事例の延長で“保険契約事例”を語れる強みが、ここにあるわけです。

8.説得ではなく経営者と同じサイドに立つ

他社の事例話を切り出す際には、“こんな話をすると、経営者の皆様の間では賛否両論なのです。社長にも一度お聞き頂きたいのですが…”という姿勢で、営業者の皆様が“大勢の経営者を対象にしている”というスタンスを保つ方が、効果が生まれやすくなります。

説得しようとするのではなく、“私は経営者の皆様のご感想を聞いて回っている”というスタンスをとるわけです。

その時、経営者がどんな反応をしようが、今度は営業者の皆様が“なるほど”という姿勢をとって経営者の意見を拝聴すれば、それだけで、“同じサイドに立つ関係”が始まったと言えるでしょう。情報は、説得のために使うべき時もありますが、“経営者と共感関係”を形成する材料にすべき時もあるのです。

9.事例提供者の流れの中で保険活用を事例として語る!

いずれにせよ、正面から保険の話を出すと、それが“経営者のため”とは、なかなか捉えられない昨今、まずは“経営支援者のポジション”を形成して、その流れの中で、“経営に役立つ事例として保険の効用を語る”というスタンスをお試しになることをお勧めいたします。
保険に対する評価が、ちょっとしたことで“乱高下”してしまう昨今、企業経営者が先入観なく“保険を正面から検討する”機会が、益々重要になっていると考えるからです。

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