デジタル化の中での《人間力》営業

(執筆:森 克宣 株式会社エフ・ビー・サイブ研究所)

インターネットの商用化は1990年代の初頭でしたが、その様相は2010年以降、日本でAndroidスマホが発売され急速に普及する中で一変したと言えるかも知れません。移動中等のネット検索が容易になったばかりではなく、SNSを通じて、誰もがネットに参画できるようになったからです。
さて、そんな社会情勢の中で、《人が主体の営業活動》は変わって行くのでしょうか。変わるとすれば、何がどう変わるのでしょう。

1.デジタルと人が対決するわけではない

《デジタル化》の一歩(数歩?)先にある《AI(人工知能:artificial intelligence)》社会になれば、対面販売を担う営業者は必要なくなるという話もなくはありません。そんな先の話でなくとも、既に保険会社はネット通販に力を入れているようです。
しかし何事にも《完成形がない》のが、私たちの社会です。デジタル化やAIの世界自体も、日進月歩で変化するということです。
そして、その変化の過程で、まだまだ不十分な面や変えない方が良い部分が明らかになり、そこに《人の役割》がむしろ拡大するのが、自然な流れだとも言えるのです。

2.今後《必要性》が薄くなっていく活動

つまり、必要性が薄くなるとしても、それは《従来型の営業活動》であり、《営業に人が携わる》こと自体ではないということです。人は常に、社会活動の中核として活動しながら、その役割を《状況に応じて変化》させるだけのことなのでしょう。
では、《従来型の営業活動》のどんなものが、必要性を失って行くのでしょうか。それは一口に言うなら、『足で稼ぐ営業』あるいは『飛び込み型営業』と言われるものだと思います。全部が全部ではないでしょうが、営業の基本が《フットワーク》ではなくなって行くわけです。

3.デジタル化が常識化した中の営業骨格

では、デジタル化が進む中で《人が担う営業の基本》とは、いったいどのようなものなのでしょうか。それを一口に表現するなら、『人が情報発信者になる』ことを意味します。
それは、1990年代初頭から一貫して、提案型営業の基本テーマでしたが、その後のインターネット社会の到来や、SNS(双方向のブログやFacebook等)の発達、スマホの普及が、《内容》を一変させたと言えそうなのです。
こう申し上げて良いなら、誰もが容易に“情報発信者になれる”昨今、『ネット上に生半可な情報が増え、混乱度が増している』という状況にも至っています。そのため、今や『単なる情報発信者以上の存在』が求められるようになりました。

4.《2通り》ある情報発信の本姿とは?

ただし、情報発信の《本姿》つまり《本来的な働き》には、2通りあります。それはデジタル化されていても、されていなくても同様で、その第1は《私は何者かを公開》する働きです。これまでは、たとえばホームページやブログやSNSが、その働きを担って来ました。
今日の顧客は《営業者の信頼性》を確認するために、《何者か情報》を確認したがり、紹介者は『こんな人だ』と《伝承できる情報》を求めます。
その時の開示情報は、特にネット情報でなくても構いませんが、ホームページやブログが格段に作りやすくなった今日、保険営業者の皆様も、自分の個人的なSNSを持つべき時に来ているかも知れません。

5.もう一つの情報発信はやや特別な存在

もう一つの情報発信の役割《顧客との対話関係を形成する》ためのものです。これも一時はホームページ等の仕事とされて来ましたが、特に生命保険営業は《地域を絞って活動する》ものですので、遠くに住む顧客から、ホームページ等で問い合わせを受けても、意味がないばかりか、ムダな作業が増えてしまうかも知れません。
そのため、もちろんメールを出してホームページやSNSに誘うという方法もありますが、《発信情報》は《文書》でも構わない、あるいは文書の方が目的に沿っていると言えるケースも、決して少なくないのです。

6.それは保険の話を切出し易くする道具

その《顧客との対話関係を形成する情報》とは、たとえば《保険話題を切出しにくと感じる時に考えるべきこと》で申し上げたような、保険の話題を出す《きっかけ》になり得る情報です。あるいは、保険の話を出し易くする情報発信活動なのです。
それは決して《お役立ち情報》でも《SNSによる趣味やライフスタイルの公開》でもありません。それらで一種の関係が出来ても、保険を切出す《きっかけ》がなければ、保険の話に至らないまま、無為な時間を過ごす関係に甘んじてしまうかも知れないからです。

7.関係深化にもう一歩踏み出せるツール

そのため従来より、情報化時代あるいはデジタル化時代の《提案機会創造》のための情報発信は、保険や保険営業者の皆様が持つ《価値》を感じさせる内容でなければならないと申し上げて来ました。
そして、コンプライアンスや時間不足の問題を克服するため、法人向けと個人向けに分けて、営業者の皆様方が《ご自身の名前で活用》できるレポートや1枚情報を、会員制度の中でご提供してきたわけです。
そのサンプルは、こちらからでもお申し込みいただけますが、ブログでも、その作り方の要点や、自作される場合の注意事項などを、折に触れて、ご紹介して行きたいと思います。

関連記事