保険営業者や代理店の皆様が主催するセミナーは、《講師》を招聘して行うのが普通だったと思います。たとえば、事業承継や相続税に詳しい講師にセミナーを依頼し、その後で10分程度の《保険案内》を行うというスタイルが、それに当たります。
しかし、生命保険自体をテーマにして、保険営業者の皆様自体が講師になるようなセミナーは、難しいのでしょうか。《今後》のために考えておく必要がありそうです。

1.ご要望頂いて作成した《がん予防セミナー》

2016年にリリース(2019年が最新リニューアル版)した《がん予防セミナー》は、保険営業者の方の『セミナー講師をしてみたい』というご要望で作成した《セミナーキット》でした。主に経営者を対象とするセミナーです。依頼者は、保険会社のバックアップを受けながら《地域の法人会》との関係を深め、そこで《がん保険》提案の展開をされたかったようですが、むしろ、少し広い視野から、がん保険のみならず、多様な保険を考えさせるセミナーを作成いたしました。
ただ、保険を前面に出したストーリーではありません。がん予防は《生活習慣の改善》をベースにしているため、経営者に『もっと従業員の日常のあり方を指導しようではないか』と呼びかけたわけです。健康リスクに目覚めさせるとともに、その資金的なリスク対策の1つとしての保険を語るものでした。もちろん、病後の生活を支える備えの1つとしての終身保険の効用も謳いました。

2.コロナ禍でセミナーの開催は減少傾向だが…

営業者の皆様が講師になると、どうしても保険のプレゼンのようになってしまいがちです。保険のアピールを急いでしまうからでしょう。そのため、セミナーがうまく行けば行くほど、クロージング活動に奔走せざるを得ず、定期的に見込先を獲得して行くという継続活動にはなりにくかったかも知れません。
それでも、法人会の事務局が歓迎するなら、事務局との関係強化で、保険の営業ルートが出来上がります。ただ、『事業者が高齢化する法人会の中では、がん予防のような話以外では、なかなか保険の話題に繋がるセミナー等は実施できない』という傾向が、最近顕著になって来たかも知れません。
そもそも2020年以降、コロナ禍でセミナー開催が極端に減りましたから、最近の動きで全てを語るのも危険なのでしょうが…。

3.セミナーのストーリーでプレゼンをする効果

ところが、ここに《思わぬ効果》が生まれて来ます。それは、パワーポイントやレジメや資料を《完成された形で持っている》ことの効果です。先ほど、『セミナーがプレゼンのようになる』と申し上げましたが、まさに1対1の面談で、セミナーキットを使った《かいつまんだプレゼン》が容易になるからです。
聞き手も、セミナーの特等席に招かれた気分になれますし、講師も大勢に話すプレッシャーから解放されるため、そこでは《一味違う》保険の動機付けが可能になるのです。
では、《がん予防》ではなく、《生命保険》を正面から題材にしたセミナーは、作成できるのでしょうか。

4.コンサルティングへの誤解を排除すれば可能

もちろん可能だと申し上げられます。ただし、セミナー講師すなわちコンサルティングへの誤解を排除しておく必要がありそうなのです。保険のコンサルティングと言うと、しばしば《保険の比較》とか《保険を活用した事例の紹介》等、まさに《保険の話》になりがちです。
もちろん、それは重要な話で、営業上は不可欠な話題なのですが、コンサルティングとは少し距離があるのです。なぜならコンサルティングと言うからには、保険への興味が薄い人、あるいは中途半端に興味を持つ人に対して、《適切な検討》を動機付けるものでなければならないからです。

5.保険への関心が薄い人に保険の話をしても…

たとえば、パソコンが必要だと思っていない人に、複数のパソコンの機器比較を行って、『これを選べ』と話しても、乾いた反応しか得られないでしょう。そもそも話を始めた段階から、聞き手は引いて行くかも知れません。ところが、話の視点を変え『これからは、パソコンやスマホが自在に使えなければ、エアコンや冷蔵庫の管理を始め、カーテンの開け閉めさえできなくなる』という話なら、少し違って来ると思います。
これはIoT(アイオーティー:家電・住宅・車等のモノのインターネット)の話ですが、便利になって行く家電の話をするだけで、パソコンやスマホの必要性や重要性を伝えられるからです。
では、生命保険では《どう》なのでしょうか。

6.《ほけん》ではなく現代の《きけん》を語る

たとえば、IoTを話題にするように、《心の病》をテーマにしてみましょう。心の病は現在猛威を振るい、元気な従業員が、ある日突然《労働意欲》を失って欠勤し、その後《医者の診断書》を持って来て《1ヵ月の休養を会社に申し出る》というケースの増加が止まりません。
休養者には、健康保険から傷病手当として標準報酬月額の3分の2程度が、最長1年6ヵ月支給されますが、現在のところ、会社側としては、《ノーワーク・ノーペイの原則:労働提供がなければ使用者に賃金支払いの義務はない》にのっとり、休養者への給与の支払いは、特段の定めや契約がない限り必要ありません。
しかし、労災の訴えを心配する前に、経営者は《組織内に突然大きな穴が開く》ことによる事業損失を心配すべきでしょう。しかも《心の病》は、その原因も治療法もよくは分かっていないのに、医者は長期療養を指示する診断書を作ることに、あまり躊躇しない傾向があるのです。

7.では、どんなストーリーが出来上がるのか?

さて、そこにどんなストーリーが出来上がるのでしょうか。
まずは、事例を紹介します。セミナーの常道です。そして、それによって受ける個人と会社の被害や、従業員の復帰時に起きるトラブルを語ります。しかし、そんな不都合が起きるのは、実のところ《休みたい時に休めない》という余裕のなさが主要因であることが多いのです。疲れを感じた時に数週間から1ヵ月の休暇を取るなら元気になれても、心の病が発症してからは半年の療養でも元気を取り戻せない時さえ少なくありません。
では、なぜ従業員は休めないのでしょうか。それはもちろん、ノーワーク・ノーペイの原則の下で、有給休暇を超えて休むと、収入を失って生活できなくなるからです。就業不能という医師の診断書がなければ、傷病手当も受けられません。

8.ストーリー次第で《営業の幅》を広げられる

申し上げるまでもなく、所得補償や就業不能保険も、たとえ心の病が給付対象になる契約でも、やはり給付金を受け取るのに医師の診断書が必要でしょう。しかし、もちろん、会社が病気手前の長期療養を認める必要がありますが、休養する個人は、解約返戻金のある生命保険で一息つける可能性が生まれるのです。しかも、解約返戻金のある生命保険は、病気にならなければ、老後や家族の保障にも使えます。心が強くなれそうです。そんなセミナーを『社長、御社の中でさせてください。その前に、社長様に内容をお話します』と言えたら、いかがでしょうか。
つまり、視点の置き方で、生命保険を題材にしたセミナーは作れるし、セミナーキットを作ったら、法人や個人にアプローチしやすくなるということなのです。
そんなセミナー講師型スタイルを、新たなコンサルティング営業と呼ぶなら、営業の幅はかなり広がる可能性が出て来ると思います。

ご参考

生命保険を題材にした、各種セミナーキット教材については、以下をご参照ください。上述の通り、セミナーに限らず、1対1のプレゼンツールとしての活用も有効です。
セミナー&プレゼンツール一覧へ

【セミナーテーマのご希望】
皆様方が講師となるセミナーテーマのご要望がございましたら、以下よりお問い合わせください。
セミナーのテーマ希望問合せフォームへ