顧客教育型営業を《英語》に訳すと、コンサルティング・セールスになります。それなら英語で良いではないかと言いたくなりますが、敢えて《顧客教育型》とするところに、誤解を排して有効な活動に進むための《重要なヒント》が隠れていると捉えられるのです。

1.顧客教育型営業とコンサル営業との違い

言葉自体の意味としては、顧客教育でもコンサルティングでも同じですが、コンサルティング・セールスというと、やや異なるニュアンスで定着していそうです。
それは、企業経営者に生命保険の節税効果を教えて保険を提案したり、資産家に相続税納税対策法や争続回避法を提言して、保険を売るようなイメージです。
つまりそれは、保険以外の見識を活用して、保険検討機会を作るという活動なのです。

2.コンサルティング自体を否定はしない!

もちろん、コンサルティング・セールス自体を否定する意図はありません。税務以外にも、保険周辺で保険に繋がる見識は多く、それを用いて顧客を保険検討に導く手法は、この顧客教育型営業コーナーでも、順次取り上げて行きます。
しかし、その前に《生命保険》自体で、顧客に《教える》べきことがあるはずなのです。たとえば、終身保険等の保険料積立型の生命保険は、金融商品として、本当に《運用効率》が悪いのでしょうか。

3.保険料積立型の生命保険の運用効率計算

一部の評論家は『生命保険は死亡保障がある分、運用効率は低い』と言いますが、この言葉自体に自己矛盾があることにお気付きでしょうか。その矛盾は、『投資信託なら、死亡保障がない分、運用効率が良い』と言い直してみるとすぐに分かります。それは、死亡保障を求める人には意味のない指摘になっているからです。
本当に死亡保障は『絶対いらない』なら話は別ですが、死亡保障に少しでも魅力を感じるなら、その《感じ方》に沿って正確で公平な計算をしなければなりません。

4.終身保険等の運用効率の正確な把握計算

さて、たとえば終身保険の場合、生命保険ですから、必ず死亡保障が付きます。たとえばその保障額が3千万円としましょう。その3千万円の死亡保障だけを、最も安価に実現するのは、一部の共済を除けば定期保険になるでしょう。
つまり、他の金融商品と比較する時、終身保険の保険料から、同額の死亡保障機能を持つ定期保険の保険料を引かなければならないのです。他の金融商品で運用する時にも、死亡保障が必要なら、最低限定期保険を買う必要があるからです。

5.死亡保障部分を除いた時の運用効率は?

定期保険の保険料を引いた終身保険の保険料と、解約返戻金(キャッシュバリュー)が、終身保険の運用効率をはじき出します。契約初期のキャッシュバリューの貯まり方には不足感を抱くかも知れませんが、払込満了時のキャッシュバリューを前提にするなら、貯蓄よりは運用効率は高い可能性があります。
運用幅に一定の制限を加えた終身保険契約なら、効果が乱高下する投資信託と良い勝負をし得るでしょう。ただ、確かに株式投資ほどの《可能性》は、終身保険にはないかも知れません。それでも、生命保険の《安定感》は魅力的なのではないでしょうか。

6.契約の数年後から訪れる一見奇妙な現象

しかも面白いことに、契約後数年が経過すると、終身保険の種類にもよるでしょうが、月次支払い保険料より、当月に増えるキャッシュバリューの方が大きくなって行くのです。もちろん、運用の分母(累計保険料)が大きくなるからです。
ユーザーにしっかり《状況管理》ができるなら、『毎月10万円程度の保険料を支払っているけれど、最近ではキャッシュバリュー増加額が毎月、支払い保険料以上に増えている』と実感するでしょう。一定期間を過ぎれば、解約の理由が見つかりにくくなります。
しかも、その上に《死亡保障》が付いているのです。

7.保険の機能へのフェアな理解を広げよう

保険自体の機能の中にも、十分に顧客に伝わっていない部分が残っているのです。しかも、保険業界は、一部の評論家のバッシングに、むしろ沈黙を守ってしまっているようなところがないでしょうか。
それは大人の対応かも知れませんが、顧客に対して必ずしもフェアーとは言えないと思います。そのため、保険の機能をもっと知るコンサルティング、否《顧客教育型の保険営業》をお勧めしたいのです。
それがこのコーナーの狙いですが、既に申し上げた通り、保険周辺の見識で保険活用法を《指導》するようなオーソドックスなコンサルティング・セールスも、順次取り上げて行きたいと思います。

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