社会的な意識変化によって、法人が《オーナーである経営者のもう一つの財布》のような存在から、文字通り《組織構成員の共有財産》となりつつある今日(詳細はこちら)、生命保険の法人アプローチも変わらなければなりません。
しかもそのアプローチは、《典型的な経営者》《生涯現役経営者》《二番手的経営者》の全てに受け入れられるものでなければならないはずなのです。
さて、では《その内容》を詳しく見て参りましょう。

1.法人と個人の2つの財布を別々に守る

そのアプローチ法とは、法人代表者としての経営者を意識させながら、その意識の下で、経営者に『自分の会社の財産を守りながらも、自分個人としての財産形成も重要になった』と感じさせるものです。
つまり『会社も個人も《同じ私の財布》』ではなく、『二つの財布を、はっきり分けて考える時が来た』と、経営者に深く感じさせることになります。
具体的には、まず《マネジメント課題》で、法人の代表者としての経営者アプローチから取り組みます。保険営業のスタートで、大胆に《経営を語る》わけです。

2.どのタイプの経営者にも効く導入話題

どうしても、経営者の個人的ニーズに対してアプローチしたい時には、《会社を持つ個人資産家財産へのアプローチ》のスタンスで臨むべきでしょう。しかし法人へのアプローチに際しては、経営者に《個人としての立場》を、始めから必要以上に意識させるべきではないのです。
ただ、保険営業者のスタンスで、企業経営者に《経営を語る》とは、現実問題として《どういう》ことなのでしょうか。

3.保険営業者目線で自然に語る経営課題

《経営を語る》としても、難しく捉える必要はありません。経営者自身、誰からであれ、面倒な理屈や理論を聞きたいわけではないからです。
その一方で、経営者が経営を勉強する時、最も大事にするのは《他社事例》あるいは《他の事業モデル》だと言えます。理屈よりも《現実的なイメージ》が欲しいわけです。
そう捉えるなら、多くの法人との対話機会を持つ(はずの)保険営業者の皆様は、《他社事例》に《自然に詳しくなる人》に見えて来ないでしょうか。ここがポイントです。

4.事例レポートが有する興味喚起の威力

単なる噂話では始まりませんが、法人のリスクに踏み込んだ提案をする保険営業者の皆様なら、他では見られない経験をしているはずです。あるいは、経験をしていると経営者から《見られ得る》はずなのです。
そこで、たとえば簡潔に事例をまとめた《マネジメント・レポート》を用意します。それは、営業者の皆様の名前で発信する場合でも、皆様個人が書いたと言わない方が得策と言えるタイプのレポートです。なぜなら、皆様方が不用意に他社の情報を公開していると誤解されると、『この営業者は、企業秘密を漏洩している』と捉えられかねないからです。

5.経営を共に語るにふさわしい印象形成

その点をクリアするため、たとえば《気付きリードマーケティング》の会が、保険営業者の皆様にご提供する月例レポートでは、その表紙に『本レポートは、私どもが保険の営業に携わる中で、実際に直面したり学んだりしたテーマを《経営情報》という形で編集したものです。その内容は、保険のこともあれば、保険とはかかわりが薄いものもありますが、経営者の皆様のマネジメント戦略に、少しでもお役に立ちたいという趣旨は同じです。ご多忙の中恐縮ですが、ぜひご一読賜りますよう、お願い申し上げます。』とコメントして、情報提供の意図や趣旨を明確にしています。
経営を共に語る相手として、保険営業者の皆様が重要な対象の1人であることを、強く印象付けるためです。

6.経営者に自分の現実を客観視させる!

そんな情報発信の目的は、現代社会のダイナミックな動きの中で、事業のチャンスを生かし、ピンチを乗り越えた事例を捉えながら、『自社にも類似の課題があり得るなあ』と経営者に《自社の日常を客観視》させることにあります。
言葉にするとややこしい感じがしますが、要するに『あっ、そんなこと考えてもみなかった』と、《日常から一歩外へ出る》お手伝いをするということです。
そんな風に、従来とは違う《何か》を感じさせる、あるいは考えさせることが、『ああ、この人(保険営業者の皆様)の話を聞いてみよう』という意識につながり得るのです。

7.お役立ち情報よりも考えさせるテーマ

その意味では、現在のような《難しい》社会情勢の中では、保険営業者の皆様のアプローチを効果的にするツールは《お役立ち情報》ではなく、経営者に少しでも《考えさせる事例情報》だと言える場合の方が多いでしょう。
いわゆる《お役立ち情報》も貴重なものですが、役に立ったからと言っても、それがそのまま《保険の話の発端》にならないなら、提供の意味が薄くなるからです。昨今『顧客と仲良くなれるのだが、保険の話の切り出しが難しい』というご相談が多いのは、もしかしたら《考えさせる材料》に乏しい対話を続けているからかも知れません。

8.事業と人生を《客観的》に捉えたら…

深く考えないまでも、いったん自分の事業と人生を、事例が提示する課題等を通して、客観的に捉えることができたら、そこに《思い通りに事が運ばないリスクの怖さ》を感じない人はいないでしょう。つまり、どんな話題からも、リスクの話題や保険の話を切り出せるはずだということです。
もちろん、保険提案に向かうには《保険話題に切り出し法》のみならず《提案力の強化》が欠かせないでしょうか、まずはその前に《保険を語り合えるベース形成》が重要になるということです。
さて、情報発信で関係を形成し、その経営者が《どのタイプに属するか》が分かって来ると、アプローチは更に《個別性》を帯びることになります。その《個別性》については、順次、このコーナーや教材・ツールで取り上げて行きます。